第8章 初めてのクリスマス(つづき)

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「ナッちゃん、ありがとう」 僕は、彼女のスベスベの頬に小さくキスをした。 すると、ちょっと僕を振り返った彼女が、細く笑ってキョトンとする。 「どうしてお礼? 私も楽しかったし、嬉しいよ?」 「でも……」 確かに、彼女も楽しんだのかもしれない。 だがこれは、普通の幼少期を過ごさなかった僕を喜ばせるために 彼女がしてくれたことなのは明らか。 実際、結婚してからというもの、 彼女は、いつも何かと僕の中で空白になっている経験をさせてくれ、 喜ばせてくれる。 だから、柔らかく温かい彼女を抱きしめ、その肩に顎を乗せて素直に聞いた。 「どうしてナッちゃんは、僕が喜ぶことが分かるの?」
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