第8章 初めてのクリスマス(つづき)

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「男性がね、なかなか『好き』って言ってくれないこと」 「えっ……」 驚いたあまり、思わず僕は顔を上げて彼女を見詰めた。 すると、そんな彼女が小さく体を反転させて、僕の頬を片手で包んでくれる。 「でも冠くんは、いつも、いっぱい私に 『好き』って、言ってくれるでしょ?」 「うん……」 「それにね、世の男性は、エッチはしたがっても、 それ以外の時に手を繋いだり、好きっていうスキンシップを なかなかしてくれないって。 でも冠くんは、いつもこうやって、私とくっ付いてくれるでしょ?」 「うん……」 「つまり、世の中の女性が、みんな凄くして欲しくて堪らないことを 冠くんは、全部いつもしてくれる」 「でもそれは、ナッちゃんが好きだから当たり前でしょ?」 しかし、「冠くん」と、小さくかぶりを振った彼女は、 優しく僕の頬を撫でた。
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