スイーツ女神を抱きしめて 第８話

第８章 初めてのクリスマス（つづき）

「みんな、そういう事を当たり前にして欲しいなって思ってるけど、
してもらえないから不満に思ってる。
でも冠くんは、それを当たり前にしてくれるから、
私は、今のままで世の女性たちが、どれだけか羨むほど幸せなの」

しかし僕は、彼女が思わず涙を零すほど喜ぶことがしてあげたい。

そして、そんな気持ちが僕の表情に浮かんでいたのかもしれない。

「冠くん。私が、感動するほど喜ぶ必要がないのは、
冠くんが、いつもこうやって私がして欲しいことをしてくれるからよ？　
だから、いつか子供が生まれても、おじさんとおばさんになっても、
お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても、ずぅーっと今のままで
変わらないでいてね？」

そう言って、彼女は僕にそっと寄り掛かる。

そんな彼女が、胸が締め付けられるほど愛しい。

優しくて、可愛くて、大好きな、大好きな僕の幸福の女神。

だから僕は、預けてくれた彼女の微かな重みと温もりをキュッと抱きしめた。