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『って、ゆーか。だいたいね、中途半端なのよ! はんぶん魚、はんぶん人間、だなんて!!』
ずり落ちてきた《天然真珠》をつらねたブラ紐をなおしながら、人魚はさもいまいましそうに言った。
『御意』重々しくうなずきながらミノタウロスは言った。
『そお?』しなやかな木の枝からもいだ、ひめりんごをかじりながらケンタウルスは言った。『おれは、けっこうたのしいけどな』
そして、ウインクをひとつのこすと、ちゃらんと手製のハープをかるく鳴らし、満天の星空のもと、ラベンダー畑にふわりと白いスカートをひろげ車座になり、たがいをひじでつつきながらくすくすとわらっている乙女たちのまつ高台へと駆けていった。
fin.
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