下戸

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「かんぱーい!」 ガチャガチャと、グラスがぶつかり合う音をたてる 。 一人一杯ずつビールを手にしてゴクリと何口か飲ん だ。 よくまあ、みんなそんなに一気に飲めるなあ、と思 う。 そー思い、一人だけビールに口をつけずにボーッと していると向かい側に座っていた玲音くんがいきな り隣に来た。 「有栖川さん?ビールさっきから減ってませんけど 、体調悪いんですか?」 「いや、その…。」 俺が返事をしようとすると先輩が先に口を開いた。 「そいつぁ、酒は飲めねーんだよ。すぐに酔っぱら っちまう。」 「山本さん…」 山本 颯斗 (やまもと はやと)先輩。 俺より6歳上で、今年で32歳。 バツいちである。 「有栖川さん、飲めなかったんすか…。」 「お、おう。」 お酒飲めねぇと、ちょっとださいよな…。 なんか、負けた気分なんだけど。
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