第二部:秋冬の定まり。 歩みは変わらず・・2

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方や遺留品を見る里谷刑事は、子供を捨てるなど言語道断と思い。 「ホント、見付けたら一発は張ッ倒して遣りたいっ」 と、息巻く。 母親たる織田刑事も、同じく似たような事を云う。 男性の中では、最も幼い子供を持つ飯田刑事。 自身が娘を溺愛するだけに、か。 「然し、育てられないからとコインロッカーに、か…。 泣きはするが、病気だったら殺人未遂だぞ」 窒息した可能も考えると、些かの憤りを込めた言い方をする。 八橋刑事、如月刑事、市村刑事は、厄介な事を頼まれたと困って居る。 これは一課の仕事か、とボヤきも…。 だが、誰よりも木葉刑事だけは違う。 そっと、テーブルの一角を見てから、並べられたものを眺める…。 「今時、駅の至る所に監視カメラや防犯カメラなんて在るのは、若い人でも知ってますよ。 然も、その画像も年々とクリアに成って、駅の様な場所で赤ちゃんを遺棄したならば、直ぐに追われるとは容易に解る筈。 深読みし過ぎと、コインロッカーに預けた意味が短絡的な事なら楽ですがね」 進藤鑑識員と赤ちゃんを抱く郷田管理官は真っ先に、物言いが真剣の木葉刑事を見た。 刑事部長の心配を、彼が真っ先に察したからだ。 彼の意見を聞いた進藤鑑識員は、ニヤニヤして。 「木葉ちゃん、やる気を見せるとはイイねぇ。 点数が上がるよ」 と、誉めるも。 赤子と一緒に残されたものを見詰める木葉刑事は、真剣な眼差しながら更に。 「だが、何で選りに選って、警視庁の目の前なのか…。 紙オムツも、粉ミルクの中身も酷く使い掛け。 お金が無いってなら、わざわざ桜田門までは・・来ない」 その意見を聴く飯田刑事は、少しずつこの赤ちゃん遺棄事件に不自然さを覚え始めた。 「確かに、この辺りで金の無い母親が住むのは、ちょっと変だな。 然も、置き去るならば、交番でも、公共施設でもイイはず、だな。 何で、わざわざ警視庁の目の前なのか…」 二人の不安を聴く篠田班長は、自身も子を持つ親なだけに。 「確かに、そうゆうと妙な不安が在るな。 ・・よし、駅の監視カメラや防犯カメラの映像から、母親か誰かは別に、遺棄した人物を追うぞ」 と、捜査の態勢へ移る。 進藤鑑識員は、血痕などのものは初見で見付からないと。 「なら、こっちは遺留品を調べるよ。 娘を持つ親としちゃ~こんな事は適わんぞ」 証拠品を入れるビニール袋に、遺留品を分けて入れる。
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