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然し、それから篠田班長も入れて8人で探せども、委棄した女性を映像に全く見ない。 駅構内はもちろん、ホームやら地上の出入り口も見ている。 女性が映像の中で移動しているのは、前日夜の10時40分まで。 それ以後、全てのホームに向かう通路、階段、テナントの映像にも、出口に行く人の映像にも、その姿が無い。
‘本当に消えた?’
と、刑事達は思う。
然し、ディスクを互いに交換して観ると…。 視えざるモノが視える木葉刑事は、一枚のディスクデータを観て。
(違う、何処かで着替えたか、変装を解いたんだ)
こう解った。
実は、赤ちゃんの傍らに佇む幽霊は、置き去る女性を留める様に追い掛けて行く。 それが、一部改装工場中の場所に消えて。 また、現れるのだ。
夜の7時過ぎ。
「違う、遺棄した人物は、消えたんじゃ~ないッスよ。 このジーンズに黒いカジュアルシャツの女性が、おそらく変装を解いたんだ」
言った木葉刑事の周りに他の刑事も、篠田班長も集まった。 木葉刑事が追うのは、首に掛かるかどうかの髪をした女性だ。 赤子を委棄した女性は、不審にカメラでも探すかの様子で歩いて居るが。 ふと、防犯カメラの死角に消えた後に数分して、歩き方の似た女性が現れ歩いて行く。
飯田刑事は、
「八橋、この人物の前後を追え」
「はいはいっ」
八橋刑事はパソコンに、人の動きをキャプチャーし追跡が出来るソフトを入れている。 飯田刑事の指した女性に的を絞らせて、映像でその後を確かめれば。 確かにその黒いカジュアルシャツにジーンズ姿の女性は、木葉刑事の観た映像の前の映像には居ない。
篠田班長は、木葉刑事の推測は当たって居ると思い。
「八橋、そのデータを鑑識に。 科捜研で~~歩様なんとかの検査をして貰え」
「‘歩様認証’ですね。 解りましたっ」
篠田班長は、言い直されたのには若干の不満が有ったが。
「よし、織田さんは、もう遅いから上がってくれ。 明後日から、また頑張って貰うぞ」
子供が二人居て、夫も交代勤務をする織田刑事だから。
「はい、では先に失礼します」
と、帰り支度をする。
一方、画像を見た木葉刑事は、夜の8時が迫るのを時計で見知ると。
「班長、すみません」
「ん?」
「あの、今から終電近くまで、駅で聞き込みをさせて貰えませんか?」
いきなりの事で、今日は上がろうと言いたかった篠田班長なのだが。
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