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鴫鑑識員は、警視庁に来て鑑識員と成った年数だけ言えば、木葉刑事と同期。 長い髪を結い上げてキャップ中に隠すが、その前髪の一部が頬を隠す程度にはみ出、小顔ながら成熟した美人顔を更に色艶溢れる印象にさせる鴫鑑識員は、木葉刑事を見ては何処か穏やかそうに。
「木葉どの、またお手柄かえ? 幼子の母を捜す為とは云え、この夜分遅くまでご苦労なこと」
こう言う鴫鑑識員。
その彼女に、金髪の若い作業員は大人の女性を感じ。 誠素直に指紋を採られ始める。
一方、制服の姿がコスプレ的な印象を与える智親鑑識員。 20前後の若々しい美少女と見える彼女に、もう一人の若い作業員がガッチガチに成りながら。
「よ・よろしく、お願い・・しま・す」
何故か片言になる。
智親鑑識員は、愛らしさすら武器にする様に。
「はぁ~い、かっこいいお兄ちゃん。 力を抜いて、ジッとしていて下さいね~。 直ぐ、済みますから~」
そんな智親鑑識員の声や仕草には、他の作業員も見惚れるばかり。
一方、鴫鑑識員に無言の笑みを返した木葉刑事は、進藤鑑識員と合い。
「御手数を掛けます」
首を振る進藤鑑識員で。
「赤ちゃんと母親の人生も掛かってる。 どれ、着替えた服は預かろう」
「よろしくお願いします」
「あいよ」
進藤鑑識員との遣り取りを終えた木葉刑事は、シートを潜って外へ。 客が降りて来る階段前には、応援に来た飯田刑事が居て。
「居たか」
「飯田さん、帰っても良かったのに」
と、二人して会う。
「馬鹿、除け者にするな」
「あら、夜に娘さんの寝顔を見ないと、1日が終わらないとか何とか…」
「血迷っただけだ。 忘れろ」
笑った木葉刑事だが。
「飯田さん。 変装に使った服の一式が、紙袋に入ってました」
「ソイツは? 進藤さんに、か?」
「はい。 処で、防犯映像で、あの変装を解いた女性は、駅のどっちに?」
「有楽町方面だ」
「では、先ずは有楽町線内に絞って、防犯映像を取り寄せてみましょうか。 乗り入れている他の電車を入れても、今夜はもう遅いですし。 迷惑に成る」
10時過ぎだと時間を確認した飯田刑事は、
「班長と連絡を取り合ってみる」
と、連絡に移った。
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