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一方、飯田刑事より離れた木葉刑事は、まだ聞き込みを続ける里谷刑事と会う。
「里谷さん、調子はどうですか?」
手帳で膝を叩く里谷刑事は、往来の客を眺めながら。
「証言は、意外と在ったわ。 でも、顔をハッキリと見た人は、一人も居ない」
「映像でも、前髪なんかを下ろしてた風ですから。 やっぱり、トントン拍子に・・って云うのは、難しいですね」
「そうね。 ね、それよりさ。 変装に使った衣装を其処に残して行くなんて、犯人は見つからない自信でも在ったのかしら」
「慌てて遠くに逃げるとしても、姿を隠すつもりでも、ちょっと不注意が過ぎますかね」
「私なら、直ぐに処分される所に捨てる。 コンビニの燃えるゴミとかさ」
「なるほど。 変装を解いた容疑者は、有楽町方面に乗ったとか。 今が・・10時過ぎですから。 監視カメラの映像で辿れれば、次に繋がりますよ」
里谷刑事は、進展は有ったと感じ。
「班長に連絡は?」
「飯田さんが」
その返事を聴いたのち、急に目を細める里谷刑事。
「それで、美人の鑑識員ユニットは?」
木葉刑事は、工場の作業場を指差して。
「作業員の方々に、見た目の癒やしをしながら鑑識作業を…」
すると、里谷刑事はヌゥ~っと木葉刑事に近寄り。
「木葉さんは、あの美人局の鴫サマとは、お知り合いですのん?」
と、違う意味での事情聴取に。
気持ち悪い生き物を見た気のする木葉刑事は、苦笑いして。
「さぁ。 お互いに、警視庁の刑事と鑑識員に成った時が同じって、それだけの様な…」
「ほぉ…。 ‘警視庁入り’が、同期ねぇ~~~」
然し、それをすんなり信じられない里谷刑事。 何故ならば、先ほど進藤鑑識員が二人の美人を連れ立って来るなりに。 里谷刑事を見つけた鴫鑑識員が。
「木葉刑事は、いずこへ?」
と、古めかしい物言いをして尋ねて来た。
「は?」
あまり話した事が無いだけに、思わず聞き返した里谷刑事。
処が、其処へ智親鑑識員が身体をクネクネさせると。
「〔愛美お姉様〕が、お尋ねに成っていますの~。 木葉刑事は、何処ですん?」
と、訳の解らない言い方をするではないか。
進藤鑑識員は、面倒臭くて。
「里谷、細かいことはいいから、木葉は何処だ?」
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