第9章 Anniversary(つづき)

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真っ白でフカフカのローブに身を包み、浴室を出て寝室に向かうと 大きなベッドの上で彼に迎えられた。 「待ってたよ」 大好きなスマイルで大きく広げられた腕の中にそっと入り込むと、 ギュッと抱きしめられる。 「ナッちゃん」 「冠くん」 互いに囁き合い、互いの温もりに包まれて、 心の底から暖かな幸福感が満ちてくる。 ところが、その耳元で次に囁かれた言葉に、私はにわかに驚いた。 「この前、このホテルで千奈美さんに会いました」 えっ……。 どうやら出張帰りに下見に来た時、営業のイベントで、ここに来ていた彼女と バッタリ会ったらしい。 そして、更に言われた言葉に、私は益々言葉を失った。
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