第9章 Anniversary(つづき)

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その夜から、数週間。 私たちは、初めての結婚記念日を迎えた。 「ナッちゃん。あの日に着てきたワンピース、着てきてね」 この日を前に、「お願いがあるんだけど」と ちょっと恥ずかしそうな彼から頼まれた。 だからこの日は、あの日と同じピンクベージュのワンピースを着て、 午前の仕事を終えた私は、ランチもせずにオフィスを後にする。 そして、あの時と同じに待ち合わせをしたラウンジに到着すると、 やっぱり彼が、そこで待っていた。 「ごめんね。急いで来たんだけど……」 「うぅん。僕、嬉しくて、早く来過ぎちゃったから」 フフッ――。 なんだか付き合い始めた頃と変わらない事を言われ、 思わず細く笑いが零れる。 そして、私の手をそっと握った彼に、大好きなスマイルを広げて言われた。 「ナッちゃん、これから少しデートしましょ」
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