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その夜から、数週間。
私たちは、初めての結婚記念日を迎えた。
「ナッちゃん。あの日に着てきたワンピース、着てきてね」
この日を前に、「お願いがあるんだけど」と
ちょっと恥ずかしそうな彼から頼まれた。
だからこの日は、あの日と同じピンクベージュのワンピースを着て、
午前の仕事を終えた私は、ランチもせずにオフィスを後にする。
そして、あの時と同じに待ち合わせをしたラウンジに到着すると、
やっぱり彼が、そこで待っていた。
「ごめんね。急いで来たんだけど……」
「うぅん。僕、嬉しくて、早く来過ぎちゃったから」
フフッ――。
なんだか付き合い始めた頃と変わらない事を言われ、
思わず細く笑いが零れる。
そして、私の手をそっと握った彼に、大好きなスマイルを広げて言われた。
「ナッちゃん、これから少しデートしましょ」
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