第9章 Anniversary(つづき)

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創作和食とはいえ、とてもおしゃれな店内は、 幸せオーラを纏ったたくさんのカップルで賑わっている。 そしてやっぱり私たちも、そのひと組。 しかし彼らとの違いは、 私たちのことを憶えていてくれた店長の計らいで、予約席は窓際の特等席。 そして、ピンクのバラが飾られたテーブルに着くと、 間もなく、グラスシャンパンがサービスされた。 「ご結婚記念日、おめでとうございます」 店長、自らシャンパンを運んできてくれ、丁寧にお祝いを言われる。 だが、改めて他人に口にされるお祝いは少し照れくさかった。 だから、お礼を返した私たちは、 互いにグラスを手に、視線と一緒に照れ笑いも交わす。 そうして、美味しい食事を楽しんだ後、 まだ甘い余韻の漂う街に出た私たちは、 ちょっと贅沢に、タクシーでホテルへと向かった。
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