第9章 Anniversary(つづき)

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「ナッちゃん、結婚してくれて、ありがとう」 「冠くんこそ、私を見付けてくれて、ありがとう」 チン――、と涼やかな音をさせてグラスを合わせ、シャンパンを一口ふくむ。 「ナッちゃん」 呟いた彼の顔がそっと近寄り、小さく唇を寄せられる。 それからグラスを置いた彼が私の目の前に小箱を持ってきて、静かに開けた。 だが私は、その中身をもう知っていた。 「僕にとって、フォルトゥーナのミルクチョコレートが、 ナッちゃんと出会わせてくれた本当のキューピッド。 だから、どうしても今日、一緒に食べたくて」 そして、長い指先で一粒を摘み上げる。 「はい、ナッちゃん」 目の前に運ばれてきたそれに、私が素直に口をあけると、 そっと小さな甘い粒が落ちてきた。
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