第9章 Anniversary(つづき)

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私にとっては、いつもの彼とのセックスも 決して、事急いている気はしていない。 けれど、彼の中でそんな感覚があるのなら、 今日は、彼がしたいような情事にしたいと思った。 「うん。じゃあ、冠くん先にお風呂入ってきて?  その間に、私も入る支度をしておくから」 うん。 頷いた彼が、また淡くリップ音をさせて唇を啄む。 そして、なんとも切なげな上目遣いで見詰めてきた。 「ナッちゃん」 「ん?」 そして、ちょっと押し黙って、更に切なげな眼差しを向けると、 「待っててね」 そう言って、再び唇を啄む。
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