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第一話 ホットドッグとペ●シコーラ
ナターシャがゆっくり目を開けると、宙に浮いていた弾薬が掌上にゆっくりと落ちてきた。それをそっと握り締めると、彼女は満足気にひと息ついた。――昨日からコツコツと作っていた魔弾の最後のひとつが、ようやく完成したのだ。
弾薬を握りしめたまま、ナターシャは何とはなしに左方に存在する扉に目をやった。
何もない荒野に、扉だけがぽつんとある。壁も建物の骨組みも、屋根もない。ただ扉だけがそこにあるのだ。この不可思議な〈扉〉を、ナターシャはくぐらねばならない。その先に、灰色の魔道士の野望を打ち砕くのに必要な神器があるはずなのだ。
それにしてもお腹がすいたわ、と思いながらナターシャは弾薬を弾薬ポーチへとしまいこんだ。ひとつ作るだけでも体力と魔力を相当使うというのに、昨日から予備ポーチの分まで作っていたのだ。腹がへるのも致し方なかった。しかしながら、すでに非常食ですら尽きかけていた。近くの街へ戻ろうにも、十数日もかかる距離だ。もう後戻りもできない。
ナターシャは深くため息をつくと、立ち上がりながらテンガロンハットを目深にかぶり直した。そしてドアノブに手をかけた。
「嗚呼、お腹が空いたなあ……」
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