第四話 お刺身

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 〈ゲオルグ〉が言う(・・)には、彼らが匿われている間、神の魔装具である〈ゲオルグ〉たちは自分のパートナーとなる人物を選定するのに苦労したそうだ。なんでも、あちらの世界に存在する〈人〉とこちらの世界に存在する〈人〉とで、ひとつの魂を共有して生きているのだという。――分かりやすく言うと、あちらの世界にもナターシャは存在しているし、こちらの世界でも水野や日比谷が存在しているということだ。  〈ゲオルグ〉たちがどうして苦労したのかというと、同じ魂を持つ者同士が出会ってはならないという不文律のようなものがあるそうで、間違っても〈神域で匿われているヒューマンと魂を同じくする者〉を選ばぬように腐心しなければならなかったらしい。  そして神は神域で匿っているヒューマンに、〈ゲオルグ〉たちのような魔装具を四つお与えになった。しかし、いくらマナやエーテルが扱えるとはいえ、ヒューマンはこちらの〈人〉よりも魔力的に劣っていた。そのため、こちらの世界の人間が使う武器型の魔装具よりも魔力を大幅に増幅させられ、かつ呪文もなしに魔法が使えるようになる装飾品型の魔装具をヒューマンのために神はお創りになったのだそうだ。――こちらの〈人〉は呪文など唱えなくても魔法が使えるが、あちらの〈人〉は魔力が弱すぎるため、言葉という媒体を用いなければ魔法が使えなかったためだという。
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