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一人の男が、切に願った。
「嗚呼、どうか神様、この夢のような時間がいつまでも続きますように。このまま夢のまま、時間だけが止まって、ずっと親友達とここに居られますように」
夜空は綺麗に晴れ、星々の輝きは強く、その男の些細な願いを微笑んでるようだった。
場内にアナウンスが流れる。
「皆様、当テーマパークは間もなく閉園時間となります。クラシックとテクノロジーの世界をご堪能頂けたでしょうか。お帰りの際は、十分にお気を付けくださいませ。またのご来園をお待ちいたしております」
定時に流れる録音された声が、男の願いを無感情のまま切り捨てた。
人混みと共にゲートから出る。叶うはずもない願いをした男は、未練を親友達と共有しようとした。
「あれだよね。家まで帰るまでがテーマパークだよね」
言い終わる前に親友が、
「そういう事言うから、彼女できないんじゃね」
男は夢から醒まされた。
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