ピンクのカサのノスタルジア

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「……え?」  ドキッと胸が鳴った。  だって、中条君が、急にふわっとやわらかく笑うから。  ピンク色のほっぺた。照れたみたいに、はにかんだ笑顔。 「……オレさ、ハーフだろ? 半分がイギリス人で半分が日本人じゃん?『どっちですか?』って、きかれたって『こっち』って、きっぱり言えなくてこまる。だからオレ、あっちとこっちで、まっぷたつに分けるのってイヤ」 「……うん。あたしもっ!」  元幼稚園の子たちと元保育園の子たちで分けるのなんて、イヤっ !!  ニコッとまた小さく笑って、中条君はきびすを返して、走り出した。 「じゃあね。また、あした」  すばやいウサギみたい。あっという間に校庭に出ていく。 「綾ちゃん、行こう」  ふり返ったら、有香ちゃんと、真央ちゃんがスニーカーにはきかえて、立っていた。 「うん、行こう!」  ふたりとならんで、あたしは歩き出した。 (おわり)
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