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「中条君って、お父さんが外国の人なんだって~」
休み時間。日差しがあたるぽかぽかの教室で、リンちゃんが、えみりちゃんや、めいちゃんと話している。
明るい声。はじけるような笑い声。
幼稚園の子たちは、幼稚園の子たちでまとまっていて、保育園の子たちは、保育園の子たちでまとまっている。
きょうははじめて、ママと別れて、ひとりで登校した。
幼稚園のときみたいに、家まで迎えのバスが来てくれない。学校まで重いランドセルを背負って、歩いて行かなきゃならない。
おまけに、学校についたら、自分で友だちを見つけなきゃならない。
幼稚園のときは、あたしがひとりでいても、先生がかならず声をかけてくれて、「リンちゃん、グループに入れてあげて」なんて、手を引いて、みんなの中に入れてくれたのに。
どうしよう~……。
あたしはひとりぼっちのまんま、自分の席で、ひざでこぶしを丸めている。
幼稚園で、一番仲良しだったくるみちゃんは、私立の小学校に行っちゃった。
リンちゃんのグループの子たちは、指輪とかラメとか、キラキラしたものが好き。あたしだってカワイイのは好きなんだけど、指輪とかラメよりも 、クマさんやウサギさんのぬいぐるみのほうがいい。
リンちゃんたちは、なんて言うか、お化粧したおねえさんみたい。だから、あたしには、輪に入っていきづらいんだ。
教室を見まわして、誠を見つけた。
誠は、年中さんまでおんなじ幼稚園だった男の子。だけど、年長さんの春に、保育園にうつっていった。
誠は、あの琥珀色の髪の男の子といっしょになって、ケラケラと笑ってる。
年中さんのころからあんまりかわらない、ちっこくてやせっぽちな体。横に広がった大きな耳は、おサルさんみたい。
そうだ! 誠とお話しに行こっ!
ぎゅっとこぶしをにぎりしめて、あたしは立ちあがった。
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