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ある日、部屋に穴ができた。
その朝は寝坊した。ベッドから飛び起き急いでクローゼットへ向かおうとしたら、片足をその穴に突っ込んでしまい、朝から盛大に転んでしまった。意外にも僕の心は落ち着いていて、何が起きたかは把握できないながらも、はまった足を抜いてその穴を見る。
50cm四方くらいの四角い穴。中は真っ黒で何も見えない。さっきは足を突っ込んでしまったが、次は何がおこるか分からない。なので、掃除用ワイパーの取っ手をその穴に突っ込んでみる。ワイパー全部を入れても届かない深さのようだ。
丸めたティッシュを落としてみる。反応なし。今度は空のペットボトルを落としてみる。落ちて跳ね返るような音もしない。次第に僕はこの異常さを実感し、急に背筋がブルッと震えた。
しかし、そんなことをやってる場合ではなかった。とっくに家を出る時間は過ぎているのに、僕は着替えてすらいない。ひとまず僕は穴にバスタオルをかけて隠し、急いで朝の準備に取り掛かった。
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