流れ星への26の願い事

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流れ星への26の願い事

山間に住む高校生のワタシ。 都会に憧れ、東京に住むことを夢見ながら、夜空を眺めるのがワタシのお気に入りの時間。 夜空にキラキラ輝く星を見ながら、都会のネオンを夢見、妄想していた。 夏。 お盆で親戚が集まる時。 ワタシの楽しみは、年に一度のこの時、東京から叔母ちゃんがきて、 東京の話をしてくれること。 この日は、車が渋滞して、到着が深夜になりそうと連絡があった。 「もう、寝なさいよー。」 という母のお小言をスルーし、ワタシは夜空を見ながらおばちゃんの到着を待った。 その間。 26個もの流れ星を見ることができた。 獅子座流星群のタイミングと重なったのだ。 こんなに見たのは、後にも先にもこの時だけ。 流れ星を見ながら、思いつくまま願い事をした。 願い事は、早速叶った。 「叔母ちゃんに早く会えますように!」 赤い車が、家の庭に。。 田舎で赤い車って、消防車しかないし。 やっぱり、叔母ちゃん、カッコいい! 叔母ちゃんに駆け寄ると、チェーンベルトの黒いカバンを肩から下げ車から荷物を出している姿さえも かっこよく見えた。 「いつまで起きてるの!もう、2時すぎてるわよ。早く寝なさい」 母からの再度の小言に、私は渋々床についた。 叔母ちゃんを通して東京を感じることができ、充実した時間だった。 流れ星への願い事。 26個のうち、いくつか叶っている。 具体的に叶えたもの。 東京の大学に受かりますように 東京で働けますように 東京の人と結婚できますように 女の子2人授かりますように 家族が幸せに暮らせますように お金持ちになりますように 美人になりますように … 26個もの願い事は、煩悩に溢れた勝手なことばかり。 あれから10年以上たった今思うこと。 願いは、叶えることもさることながら、叶った後の方が大切。 東京で働くには、通勤ラッシュに耐えて、 企業の競争の最前線で戦い、 好きな人と結婚しても、幸せを継続するには努力が必要だ。 願いを「幸せ」のキッカケにするか「不幸」の引き金にするかは 自分次第。 きらびやかなネオンが輝き、星の光が霞む東京の夜空を眺めならそんなことを考えた。 東京では輝く星は見えないけど、ワタシの心の奥には、高校生の時見た満天の夜空で見た26個の流れ星が今でもキラキラと輝いている。
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