アウトオブコントロール

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翌朝、アラームの音で目が覚めた。画面で時間を確認するとスヌーズが4回目になっていた。最初のアラームから10分後に鳴るようにセットしてあった。起きたい時刻から40分も経過していることになる。 今日は大学の講義が早い。急いで準備をしないと遅刻してしまう。慌てて身支度を整える。 現実の私は里菜と違っている。化粧は眉を描いて色つきリップを塗るだけだ。髪の毛だって巻いたりしない、出来ないのだ。 ダイニングテーブルに菓子パンが1袋置かれていた。 「優子、お母さんもパートに行くから、朝ごはんならそれを食べて。」 母がバタバタ洗濯かごを持って浴室の方へ消えた。父と姉は既に出かけてしまっている。母も急いで家事と自分の身支度をしているところだ。 寝坊した私の朝食を作る暇などないらしい。私もそれを食べる余裕はない。
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