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そんな反応の間にラーンからとどく「元気?」は本当の自分を知られてしまったようで、何だか居心地が悪い。こんなことは止めた方がいいと分かっていても承認欲求に敵わなかった。
SNSの世界が全て現実と同じであると思っている人はどれくらいいるのだろうか。
SNSの中の私は完全に姉だ。姉がいくら疎ましい存在であっても家族を晒すのは気がひける。だから、決して姉の個人情報が分かるようなつぶやきはしなかった。
何より、何かのきっかけで姉に私のしていることがばれてしまうのが怖かった。里菜は私が作った虚構だ。名前はしおりが挟まったままの小説から主人公の名前を取った。たまたま目についたから選んだ。
姉にばれてつぶやきを止めさせられてしまうのは嫌だった。それくらいのめり込んでいた。
ラーンが声をかけてくると緊張した。返事はなるべく当たり障りなくしていた。SNSの中では充実した日々を過ごしているように装っているのだ。それにあった返事をしなくてはいけない。
ラーンは少し他の人と違って、投稿する写真より里菜がつぶやく話に興味を示した。
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