アウトオブコントロール

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家に戻り、姉が映画の余韻に浸っている横で、私は携帯電話のことが気になって仕方がない。コーヒーを飲んで帰ってきたので、携帯ショップの閉店時間が過ぎてしまった。 気になって画面をいろいろタップしても至って普通で、どこも壊れているような感じはしない。 思いつくことは一つしかない。それは直前に起動していた二つのアプリのせいだ。カメラが起動したままで偶然写真を写してしまった。指が当ったのだろう。 カバンに携帯電話を入れる際、SNSアプリが起動したままだったので、手が当って投稿してしまった。それしか考えられない。だから、投稿に文字がないのだ。 そんな偶然があるのかと信じがたいが他に説明のしようがない。それにそう思ったほうが言い知れぬ不安を拭い去ることが出来た。 母と姉が映画の話をしているのを横目にリビングを後にした。 おかしな投稿を偶然と思い込もうとしたけれど、今日はこれ以上投稿する気分になれなかった。
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