インソムニア

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 様々な映像がぶつ切りに挿入され、最後には、夜の教室で泣いている制服姿の女子を先生役の男性俳優が胸に引き寄せる。巷では話題沸騰中の美女とイケメンだ。二人は見つめ合い、ほとんど唇と唇が触れ合いそうな距離で映像が終わった。  テレビを付けた瞬間に、このCMが流れるなんて。  運命を感じずにはいられなかった。  もしも明日、うまいこと盛り上がり、彼女が俺の家に来たいなんて言いだそうものなら。  思わず手に力が入り、缶コーヒーがメキッと悲鳴をあげる。  据え膳食わぬは男の恥。  俺は缶ビールを手放し、床にバラまかれた衣類をかき集めてこんもり丸めると、洗面所にあった洗濯機に押しこんで蓋をした。  ついでに洗面所の一番下の棚を開ける。そこには前の彼女とのお楽しみで使用していたものの残りが、いかがわしい箱のなかで待機していた。男女の薄いエチケットに敬礼をし、俺は居間へと戻るとベッドの上に身を投げ、明日の幸せに酔いしれた。  明日のデートのお相手は、一つ下の新入生社員。  まだまだ職場の雰囲気や仕事に慣れてなくて、戸惑う姿もあどけない二十二歳だ。化粧も覚えたてって感じで薄めだが、その擦れてない感じがよかった。  一昨日、ずっと遅れていた議会対策資料作成の目処がつき、俺たちは閑散としたオフィスで詰めていた息を吐いた。時計はすでに二十一時を回っていた。 「仕事の打ち上げに、今週の終末に飯でも食いに行くか」     
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