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検索に没頭していたら、時計は無情にも五時を超えた。頭はどんより重く、眼の奥にしこりのような違和感を感じる。笑いたい気分だった。時計は絶望のカウントダウンと化し始めている。
俺はそこで、ついにパソコンの電源を切った。
発想の転換。俺は自分が保ち続けたパラダイムをシフトさせることにした。
眠れないのなら、寝なければいいのだ。
俺は寝間着のまま扉を開ける。漆黒の闇は終わり、朝の気配が混ざり始めていた。早朝の張りつめた空気が肌をくすぐる。
俺は階段を降りていく。入口前にあった植物の葉は朝露で濡れていた。自動販売機で冷たい缶コーヒーを買って飲んだ。部屋に戻ってテレビを付け、テンションをあげるときのための曲を流す。カーテンを開け、朝日が部屋を照らすころにシャワーを浴びた。気持ちはすこし上向きになった。
早めに新品の服に着替えて鏡の前に立ってみる。眼も当てられなかった。
眼窩は落ち窪み、眼の白い部分は充血していた。口は半開きで頬が乾燥して生気に乏しい。剃ったはずの髭も心なしか濃くなっている。ひどい有様だ。
言い訳を考えなくては。そのためにはまず朝飯を食おう。俺は身体を動かすことにした。
ある恐怖が芽生え始めていた。
ここで寝てしまえば確実に起きられないという恐怖。
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