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インソムニア 2
世界はとても静かだ。
時計の針がチクタクと働き、呼吸は一定のリズムで繰り返している。心臓がドクドクと全身に血液を運んでいく。
あれ、目覚ましをちゃんとセットしたっけ。不安が押し寄せてきた。時間には厳しくあれ。彼女にはいつも口酸っぱく言い聞かせていた。
「先輩は仕事ではちゃんとしていますけど、休日はちゃらんぽらんなんですね」
そんな評価はごめんだった。
俺はカッと眼を見開き、アラームを確認する。ちゃんとセットされていた。だが念には念を。俺は一分前にアラームを設定し、鳴るかどうかを検査した。アラームは一分後にけたたましく鳴った。
俺は胸を撫で下ろし、ふたたび八時にセットしなおして眼を閉じた。すると別の不安が兆した。電池は大丈夫だろうか。いやいや、電池はたしか一ヶ月くらい前に取り替えたはずだ。
だがそこで、今度は携帯が鳴るかが気になってきた。充電器に差したことは覚えている。けれどマナーモードにしていた可能性はないだろうか。
もしも疲れがひどく、起きられなかった場合。
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