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「えっ?」
「あっ、ごめん。ひとり言」
「こいつ、隣のクラスの香川勇樹。ちょっと変わってて、魔術に詳しいんで連れて来たんだ」
「そうなんですか?わたしオカルトとかホラーとか興味あるんです」
そう香織が言うと、カズがユウキの声を真似て勝手に喋った。
「じゃー、今度君の家に遊びに行っていいかな?簡単な魔術なら教えてやるぜ」
ちょっと間があったが、香織は意外と笑顔で答えてくれた。
「いいよ。明日退院するから来てよ。拓真も紗里奈も来るでしょ?」
「いや、オレは」
拓真はユウキの声音が変わったのが見え見えだったので断った。
「わたしも明日、用事あるんだ」
「ダメ。絶対来て」
結局、香織の我儘で拓真が一緒に行くことになった。ユウキにしてみれば拓真に頼まれた事である。
「拓真くんは行かなきゃダメですよ」
それはユウキ本来の声だった。
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