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第一章
気が付くと目の前には草原がひろがっていた。
見渡してみると、草原は意外に広く、すみのほうに木々がなんとか見えるくらいだ。
反対側も見てみたらそこには、他の木々とは別に、大きな木が一本だけ草原の真ん中辺りであろう場所にポツンと立っていた。
僕は、その木に近付いて行った。
少し歩くと、木の下に一つの影が見えた。
その影は近付くにつれてはっきりとし、残り10Mくらいまで近付くと影ははっきりとした象になった。
そこには、自分と同じくらいの歳であろう少女が、見たこともない民族衣装に身を包み、僕の方を儚げな瞳で見つめていた。
僕はその少女の顔に見覚えがあるはずなのに、なぜか思い出すことができなかった。
まるで頭の中に靄がかかったように。
気が付くと、僕はその手に弓を持っていた。
次には弓を構えていた。
その鋒を少女に向けて。
``この手を離してはダメだ。''
僕は、自分にそう言い聞かせながら右手に力をいれた。
しかし、次の瞬間少女の口から信じられない言葉が発せられた。
「構いません、その手を離して下さい。」
「…なっ」
「じゃないと、大変なことになります。」
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