2,突然

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「ご、ごめんなさいぃぃぃ!!」 「は?」 ランに追い詰められてとうとう泣き出してしまった美琴。諒介と杏子はジッとランを、見つめる。ランは二人の視線と泣き止まない美琴で、あたふたしてしまう。 「う、あ、えー・・・っと。ごめん、なさい」 ランが美琴の頭に手を伸ばして撫でる。すると、美琴はランをポカンと見つめた。その視線に耐えかねたランは、ふいっと顔をそらす。諒介と杏子は、ランの不器用な態度に思わず苦笑いをこぼす。 「美琴!?」 探偵社のドアが盛大な音を出して開き、走って入ってきた女性は茶色のボブショートを、乱れさせていた。女は美琴の姿を確認すると、安心したような怒ったような顔になり美琴に近づいた。 「美琴、大丈夫?もう、怖くないからね」 「・・・迎えに来てなんて頼んでないけど」 美琴はさっきまで泣いていたのが嘘のように、女を睨み付けドスの聞いた声で女を威嚇した。ただ、女はそれを敵意だと思っていないのか、ただ、ニコニコしているだけだ。 「あ、あのぉ?ど、どちら様でしょうか・・・?」 「あんた達、人の娘をさらうなんてどういう考えしてんのっ!?」 「え、はっ?ゆうかい?」 美琴と女の会話に、口を挟んだ杏子は女の怖さで、すぐに漢字が脳内変換出来なかった。杏子がアタフタしているところに、諒介が杏子の前ににこやかな笑顔を浮かべて立つ。 「すみません、うちの者が勝手なことをいたしました。申し訳ありません」 「ほんとよっ!私は美琴とは血が繋がっていないけど、大事な私の一人娘なんですよっ!」 「この度は本当に申し訳ありませんでしたっ!」 諒介は美琴の母になった茜に綺麗に頭を下げる。杏子はそれに習って、深々と頭を下げた。 「で、美琴を誘拐した目的はなんなんですか?」
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