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乾佐親子が去っていった後の、探偵社は仕事があるのか無いのか不安になりそうなほど、のんびりとして静かだった。
だが、その静けさを壊すように探偵社のドアが開いた。
「お、おいっ!諒ちゃん、諒ちゃんっ!」
「あ?あぁ、吉川さん。どうした?」
探偵社に駆け込んできたのは、お向かいの吉川の大黒柱。今日は休みだったのか、ラフな格好をしていた。
「お客だよっ、お客さんっ!」
「え?」
吉川の後ろには確かに、女の人がいた。杏子がすぐに女の人を案内する。諒介は吉川と一言、二言会話し帰らせた。諒介が女の人の依頼を聞くために、合流する。女の人は黒髪で少しウェーブがかっている、地味目ないわゆる清楚系女子だ。
「すみません・・・突然来てしまって」
「大丈夫ですよ!むしろ、ありがたかったです」
「え?」
「ほら、ご覧の通り暇な探偵社ですから」
諒介はここぞとばかりにべらべらと喋り始める。ランがため息をついた。そこへ、お茶の用意が出来た杏子が、そろそろとお茶をこぼさないように運んでくる。
「で、どのようなご依頼でしょう?」
諒介がべらべらと喋っているのを聞いていたようで、杏子自ら質問した。すると、女の人は少し戸惑ってだが、深々と頭を下げた。
「お願いします、彼の妻子を見つけてください!」
「「「え?」」」
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