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女の人の言葉に今まで、興味無さそうに聞いていたランが聞く姿勢に入った。
女の人は米田つぐみと名乗った。そしてつぐみはとりあえず、その今付き合っている彼のことを話始めた。
「彼とは本屋で出会って・・・それで好きな本とか作家さんとかの話題で盛り上がって。それで、いつのまにか彼の事が好きになっていた私から告白を・・・彼、OKしてくれてそれでお付き合いするようになったんですけど、なんか様子がおかしくて。でもそれだけじゃないんです」
「と、言いますと?」
「彼、本屋とかではしゃぐ私に向かって転んだら危ないぞ~とか言ってきて」
「それは、普通の事では?」
つぐみが言っていることは多分、普通のカップルならありそうな会話だ。そこに突っ込んでみると、つぐみは指で髪の毛の一房をもてあそんで、何か迷いながらある一言を言い放った。
「じゃあ、自分をパパ呼ばわりするのは普通ですか?」
「は?」
これには、杏子も驚いて固まってしまう。詳しく話を聞くと、欲しいものがあったときとかに「よし、パパが買ってやるぞ」と言うらしい。そのあと、そいつはなにも気にせずにいたらしい。多分、気づいていないのがつぐみの見解だ。
「私は彼が既婚者だと思うんですけど、どう思います!?」
「どうって、調べてみないと何とも・・・」
諒介は感情が高ぶったつぐみを、落ち着つくように促す。その時、杏子の脳内に恐ろしい考えがよぎった。
「まさかとは思いますけど、その彼の妻子を殺そうなんてこと考えていないですよね・・・?」
「・・・フフフ、そんな訳ないじゃないですか!私がやりたいのは、家族円満な写真を彼に見せつけてフる事ですよ」
「あ、ですよねー。失礼しました~」
杏子は反射的にそう答えるが、つぐみの妖艶な笑みで全くつぐみが言っていることが信用できなかった。
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