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諒介はやるだけやってみると、取り繕った笑みで言いつぐみを帰らせた。つぐみが帰ったのを確認すると、杏子は眉をひそめて首をかしげた。
「どういうこと?あの人の彼氏は浮気してるって事?」
「・・・その可能性が高いって話だ」
「で?やるの、やらないの?」
ランが目をランランに輝かせ、諒介に身を乗り出しながら聞いてくる。諒介はため息をついて、ランから逃げるようにソファーから、自分のデスクへと移動し腰をおろした。
「やる。てか、やるだけやるって言ったしな」
「・・・なんていうか、男ってほんとどうしようもないよね」
杏子が呆れた口調で呟いた。幸い、諒介には届かずとなりにいたランにはバッチリ聞かれ、ゲラゲラ笑われた。
「ま、とりあえず米田さんには彼氏の写真を送ってもらうとして・・・。問題はこっちだな」
諒介はデスクに無動作に置いてあった、小豆の写真を人差し指の間接で叩く。杏子は眉をひそめてその写真を覗きこんだが、ランはただ不思議そうに首をかしげている。
「何が問題なんだ?小豆はもう解決しただろう?」
「なに言ってんだよ、ラン。生き物を飼う以上、その生き物の人生を背負わなくちゃいけない。だから、どんな理由があろうと家族同然のペットを捨てていい理由にはならない。だから、小豆を捕まえて乾佐家に戻す」
「・・・分かったよ。でも、どうやって?情報収集はやってないぞ」
「探偵、なめてんじゃねーよ」
諒介はデスクの中からホッチキスで止めた、資料がバサリと乱暴に投げ出された。杏子とランが不思議がって、その資料に目を通す。
「諒介、コレッ・・・!」
「小豆の出没情報だ」
諒介は誇らしげにニヤリと笑った。諒介の資料には誰が、どの時間、どこで見たのかをちゃんと記してあった。ご丁寧にその見かけた現場、話を聞いた人の住所まで詳細に、地図に記してあった。
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