3,疑問点

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「す、すごいよっ、諒介!これ、全部一人で!?」 「まぁな、これぐらい俺一人でもできるっつーの!!」 「ホント、スゴイデスネー」 ランがふて腐れた顔で諒介を、褒め称える。諒介はそのランの不機嫌さが 分からず、状況を理解した杏子は苦笑いを浮かべた。 「な、なぁ、なんでラン、さっきから怒ってんだよ?」 「諒介にムカついたからでしょ」 「そうだけど、そうじゃないっ!」 今度は諒介が癇癪をおこし、ふて腐れた。杏子はため息をついて頭をガシガシとかいた。 「ランはねぇ!あんたに自分の役目を取られて悔しいの!」 「え、そ、そうだったのか?」 ふて腐れていた諒介の顔が一気に青ざめる。ランは頬を膨らませながら、コクリとゆっくりうなずいた。 「ご、ごめんっ!だって、小豆を探すのランはあんまり積極的じゃなかったから・・・。協力してくれないのかと思って」 「そんなの、言ってくれないと分からないじゃないか!協力したかもしれないのに!」 青ざめている諒介とプリプリ怒っているランが、ギャーギャー言いながら我の主張をする。杏子は呆れて言葉もでない。 「実は、前から言おうと思っていた事があるんだ」 「へぇ?君もか」 ランを親の敵でも言うように諒介が睨んでいる。それを、もろともしないランの冷笑が、諒介に降り注ぐ。 「ほんと、ラン。お前って奴は・・・!」 「ホント、諒介。君って奴は・・・!」 「「自己中心的!!」」 二人の大声が合わさって、とんでもない大音量になる。杏子はとっさに耳を塞いだが、間に合わなかった。耳がキーンと痛い。 「テメェら、いい加減にしろぉぉ!!」 「「・・・はい」」 まだ続けようとした諒介とランを、一喝するように杏子が大声を出すと二人とも黙った。
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