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杏子はランと諒介を連れて、小豆の目撃証言があった場所に巡回する。
「いねぇーな」
「子どもと亀に気を付けてくれよ、諒介」
「うるせぇっ!!」
諒介はランを思いっきり睨み付ける。杏子はそんな二人のいざこざを、お構いなしに進んでいく。
「あ、いた!」
ほぼ条件反射に近い形で、杏子が声をあげた方に顔を向ける。そして、そこにはふてぶてしい小豆がいた。
諒介とランは競争するように、同時に小豆に向かっていく。だが、小豆は捕まるなんて事はせず、建物と建物の間を駆けていった。
「クッソッ!!」
諒介は舌打ちをして、小豆のあとを追いかける。杏子も弾かれたように諒介とランのあとを追いかけた。
「ほ、ほんとにっ、小豆?」
「あぁ、間違いない」
「じゃ、じゃあ早く捕まっ・・・えないとっ!」
そう言いながらもすでに杏子の息はあがっている。
「杏子、君は乾佐美琴を連れてこい!分かったね!?」
「え、え?どこに!?」
「僕のスマホのGPSを使って来てくれ!」
「あ、うん、了解!」
諒介とランを見送るように、杏子は手を振った。杏子は少しの間、諒介とランが行ってしまった方向を見つめ、やがて乾佐美琴を探しに行った。
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