4,まずはひとつめ

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とりあえず杏子は、乾佐美琴の家の前に行ってみた。今は丁度、下校時間らしくちらほらランドセルを背負った小学生が見える。美琴の姿を探そうと、杏子は辺りをキョロキョロと見回した。 「・・・何してんの?」 「美琴ちゃん!」 「だーかーら!何してんのって聞いてるでしょ!?」 美琴は腰に手をあてて、杏子を睨み付けた。 「小豆がね」 「見つかった!?」 まだ小豆しか言っていないのに、美琴は目をキラキラと輝かせて杏子の次の言葉を待っている。杏子はスマホの操作をし、ランのスマホの位置情報を表示させる。 「ここに一緒に来て欲しいんだけど、い」 「ダメっ!」 突然家の中から鬼の形相の、茜が出てきた。杏子は顔をひきつらせ、美琴は忌々しそうに舌打ちをする。 「ダメです!美琴は連れていかせません!」 「いや、でも」 「でもじゃありませんっ!ていうか、なんなんですか?小豆はもういいって言ったじゃない!それともなんですか、そんなにしてまでお金がほしいんですか!?とにかく、小豆はうちの犬じゃありませんから、連れてきたとしてもお金は払いません!!」 まくしたてる茜の言葉が、おどおどしていた杏子の 逆鱗に触れた。杏子は茜を睨んでやった。 「何かしら?」 「・・・あんたさぁ、命って知ってる?」 「はぁ?何よ、急に」 「急じゃねぇよ。あんたらは小豆の事をなんだと思ってる訳?物じゃねぇんだぞ?」 「そ、そんな事言われなくても分かってるわよ!」 「分かってる奴が、もう探さなくていいなんて言うわけねぇだろ!!」 「たかが犬で、ペットじゃないっ・・・!」 「たかが犬でペットでも生きてて、てめぇらの家族だ!!」 「杏子、行こっ!!」 タイミングを見計らって、美琴が杏子のてを引いた。茜はその美琴の小さな手を、掴むことができなかった。
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