2人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「どこ!どこ行けば小豆に会える!?」
「この道を抜けた公園!」
杏子は茜が追いかけてこないか、後ろを気にしながら走る。すると、隣で走っている美琴から笑い声が聞こえた。
「杏子って、意外にハッキリ言うんだね。何も言わないかと思った」
「あ?だって、ムカつくじゃん。人間は大事で動物は別にぃ?みたいな。どっちも生きてんだから大事にしろってのっ!!」
「・・・見直したよ、杏子」
「別に見直さなくてもいいんだけどさ!その杏子って、止めてくんない?」
「あ、着いたよ」
杏子が訴えるが完全に、無視された。
公園内では、子どもがあちらこちらで遊んでいる中、諒介とラン、二人が小豆を捕まえようと追いかけている。
「小豆!!」
美琴が呼ぶと、小豆は美琴を確認し一目散に駆け込んでくる。その後ろをへとへとになりながら、諒介とランが走ってきた。
「小豆!」
美琴は小豆を抱き止め、わしゃわしゃと全身を撫でた。その横で諒介とランが座り込んだ。
「小豆、ごめん!ごめんね!」
美琴はひっきりなしに小豆に謝っている。それを横目で見ながら杏子は、座り込んでいる二人の近くに駆け寄った。
「大丈夫?」
「これが、大丈夫にっ、見えんのか、お前はぁっ!!」
「元気そうに見えるよ。てか、諒介よりラン君の方が瀕死状態なんだけど」
杏子が苦しそうに息をしているランの背中をさする。
「よし、帰ろう!」
「えー、遊ぶ!」
気合いを入れ直して立ち上がったランを打ち砕くように、美琴が小豆と戯れながらいい放った。もちろん、彼女を一人にして帰るわけにも行かないので、諒介達は暗くなってくるまで、彼女に向き合って遊びまくった。
最初のコメントを投稿しよう!