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日が完全に落ちるまで、美琴と小豆は遊びまくった。
「美琴ちゃん、帰ろよー!」
「嫌っ、小豆と一緒にいる!」
美琴は小豆にしがみつき、歩こうとしない。三人がため息を着いたとき、小豆が自主的に歩き出した。
「小豆・・・?どこ行くの?」
犬の小豆はもちろん答えない。段々、美琴の目に涙が溜まっていく。それでも行こうとする小豆の、首輪を諒介が掴んだ。
「一緒に、帰るんだよ」
諒介の言葉が分かったのか、小豆は一拍遅れてワォンと鳴いた。美琴も笑顔になり立ち上がった。
「さ、帰ろう。で?杏子は何してんだよ」
「えー・・・っと、鬼ごっこ」
諒介達から離れるように、杏子が走り去ろうとしていた所に諒介が腕を掴んだ。諒介が問い詰めると、杏子の目が泳ぐ。
「ふーん、で?誰が鬼?」
「え?えっと、誰だろうねー?」
杏子は言い訳するのが苦しくなり、無理矢理笑顔で誤魔化そうとした。が、諒介は掴んだ腕を離そうとしない。
「お前、またなんかしたのか?」
「いや、したって言うか、しょうがなかった・・・いや、何でもないです。行きましょう」
「もしかして、茜さんが怖いの?」
美琴の言葉に、杏子が跳ね上がり、それを諒介とランは見逃さなかった。今度こそヤバイと思った杏子は、必死で足掻く。必死に足掻いたお陰で、杏子の腕は諒介の手をスルリと抜けた。だが、今度はランに捕まれた。
「何、したのかな?」
「いや、だから何も・・・」
「杏子ー?」
ランはニコニコ笑っているが、威圧感があり杏子は萎縮する。助けを求め、美琴に視線を送るが美琴はニコニコしているだけだ。
「杏子が言わないなら、茜さんに直接聞こうか」
「え!?は!?ちょ、それはやめて!?」
「じゃあ話してくれるよね?」
「・・・はい」
杏子は逃れられなかった。
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