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「パパなの!?てか、この子誰!?」
つぐみは荒ぶった感情を素直に、諒介達にぶつけてくる。その怒った顔はまさに般若と言っても過言ではないくらい、怖かった。
「うんと、えー・・・。い、依頼人の娘さんでして」
「依頼人!?」
つぐみの般若そっくりの顔を直視できずに、諒介は顔をそらして答える。
「ねー、私さぁ、あなたのパパに用があるんだぁ。今日、どこにいるか知らない?」
「え?パパなら多分、家にいると思うけど・・・。あっ!じゃあ一緒に帰ろうよ!」
つぐみは猫なで声で美琴に聞くと、なにも知らない美琴は嬉しそうにそう言うのであった。
「じゃあ、帰ろっか!」
「うん!」
つぐみと美琴は、手を繋いで美琴の家のある方向へ歩いていく。
「え、ねぇ!諒介、どうすんの!?なんかつぐみさん、美琴ちゃんのお父さんを血祭りにあげそうな雰囲気なんだけど!」
「んなこと言ったってさぁ!俺にあれは止められねぇよ!」
「じゃあ、どうするんだい?」
ランが楽しそうにニヤニヤしながら、諒介に聞いた。諒介の右には焦る杏子、左には楽しそうなラン。板挟み状態になり、諒介はなにがなんだか訳がわからなくなってきた。
「ほらほら、早くしないと二人とも行っちゃうよ?」
「あぁ、もう!行くぞ、お前ら!」
諒介は自分でもよく分かっていないのだが、二人を追いかける。それに不服そうな杏子と楽しそうなラン。
「諒介、いつも以上にテンパってるねぇ~」
「はぁぁ!?ちょ、ラン君、諒介を焚き付けてどうすんのよ!」
「じゃあ、杏子は行かないの?」
「・・・行きますけど!」
ひとりぼっちは嫌な杏子。
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