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諒介達、三人はとくに二人を、止めるわけでもなくただ後ろについて歩いていた。そして、解決策が見つからないまま、乾佐家に着いてしまったのだ。
「ちょ、ほんとにどうすんのよ、諒介!?」
「うるせぇな、黙ってろ!」
「二人とも落ち着いて」
諒介と杏子が一触即発の空気になりかけたが、ランが二人を諭した。美琴が自前の鍵で玄関を開けると、茜が玄関に見事なスライディングで滑り込んだ。
「美琴、こんな夜遅くまで何をしていたの!?」
「・・・あんたに関係ないでしょ」
小学生とは思えないほどの、反抗っぷりの美琴。そして茜は諒介達、三人と小豆を見るなりあからさまに嫌な顔をした。
「・・・なんの用ですか、小豆はもういいって言いましたよね?」
「はぁぁ?」
茜の言葉に、杏子の収まっていたはずの怒りが沸いてくる。その杏子の様子をランが、腹を抱えてひっそりと笑った。
「実は・・・」
そんな二人を無視して、諒介が茜に説明しようと前に出た、そのとき。
「旦那さん、ご在宅でしょうか」
「え?えぇ、いますけど。誰、あなた」
つぐみを茜は、諒介達の仲間の探偵だと思い込んでいるようだ。
「まぁ、いいわ!とにかく、小豆と共にお引き取りください」
ピシャリと扉を閉めようとした茜に、そうはさせまいとつぐみが扉を食い止める。
「ちょっと、失礼します」
「はぁ!?」
つぐみは茜を押し退け、乾佐家に入っていく。茜が戸惑いながらも、つぐみを追いかけていく。その後ろに何が起きているのか分かっていないであろう、小豆、美琴が続く。諒介達、三人は一番最後だ。
「ねぇ!ほんとに止めないとまずくない!?」
「そうかな?警察沙汰になる前に止めればいいんじゃないか?」
「なんでラン君はそんなに能天気かなぁ!?」
「こういう時の杏子のヘタレさは、いつ直るのかなぁ?」
あぁ言えばこう言い返されてしまった。杏子はうまい言葉が見つからず、ランを睨み付けるだけで精一杯だ。
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