5,とりあえず最終章

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「え?」 「やめようって言ってんの!」 茜は声を荒げて、直之を睨み付ける。直之はポカンとし、茜を凝視した。 「ま、待ってくれ!考え直してくれ!」 「いいえ、もうダメよ」 二人の内容が理解できない。茜と直之以外は、話がまとまるまで様子を見ることにした。 「だから、待ってくれ!考え直してくれって!」 「だから、もういいのよ!!」 茜が勢い余ったのか、直之の胸ぐらに掴みかかった。直之はその茜の手首をつかんで、懇願している。 「ちょ、ちょ!落ち着けって!!美琴ちゃんが見てんだぞ!?」 諒介が無理矢理、二人を引き剥がす。二人は我に返って、美琴に目を向けた。美琴は小豆に抱きつきながら、恐怖の顔色を見せていた。 「・・・美琴」 茜が手を広げて、美琴が抱きついてくれるのを待った。だが、美琴は首をフルフルと弱々しく横に振る。 「美琴、大丈夫よ。だから」 「・・・だから何!?大丈夫って何が!?もう、あんたたちの事なんか知らない!!」 美琴は小豆を連れて、部屋から出ていってしまった。 「・・・えーっとなんの話でしたっけ?」 美琴を出ていったあと、茜は人が変わったように物腰柔らかに笑顔まで見せた。 「乾佐直之の浮気のことだよ」 「あぁ、そうでしたね」 「どうなさるんですか?」 「離婚しますよ、当たり前でしょう?」 「だから、待ってくれ!」 直之は懇願し続けるが、茜は一瞥しつぐみに近づく。 「あなたがあいつの浮気相手ね?」 「う、あ、はい」 「あんなの欲しかったらいいわよ、あげる」 「うぇぇっ!?」 杏子がつぐみに変わって驚いてしまった。つぐみは驚きすぎて声がでないのか、茜を凝視している。 「だって私、美琴さえいてくれればあんなのいらないのよ」 「はぁぁぁ!?」 また杏子が大声で驚いてしまった。
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