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「え?」
「やめようって言ってんの!」
茜は声を荒げて、直之を睨み付ける。直之はポカンとし、茜を凝視した。
「ま、待ってくれ!考え直してくれ!」
「いいえ、もうダメよ」
二人の内容が理解できない。茜と直之以外は、話がまとまるまで様子を見ることにした。
「だから、待ってくれ!考え直してくれって!」
「だから、もういいのよ!!」
茜が勢い余ったのか、直之の胸ぐらに掴みかかった。直之はその茜の手首をつかんで、懇願している。
「ちょ、ちょ!落ち着けって!!美琴ちゃんが見てんだぞ!?」
諒介が無理矢理、二人を引き剥がす。二人は我に返って、美琴に目を向けた。美琴は小豆に抱きつきながら、恐怖の顔色を見せていた。
「・・・美琴」
茜が手を広げて、美琴が抱きついてくれるのを待った。だが、美琴は首をフルフルと弱々しく横に振る。
「美琴、大丈夫よ。だから」
「・・・だから何!?大丈夫って何が!?もう、あんたたちの事なんか知らない!!」
美琴は小豆を連れて、部屋から出ていってしまった。
「・・・えーっとなんの話でしたっけ?」
美琴を出ていったあと、茜は人が変わったように物腰柔らかに笑顔まで見せた。
「乾佐直之の浮気のことだよ」
「あぁ、そうでしたね」
「どうなさるんですか?」
「離婚しますよ、当たり前でしょう?」
「だから、待ってくれ!」
直之は懇願し続けるが、茜は一瞥しつぐみに近づく。
「あなたがあいつの浮気相手ね?」
「う、あ、はい」
「あんなの欲しかったらいいわよ、あげる」
「うぇぇっ!?」
杏子がつぐみに変わって驚いてしまった。つぐみは驚きすぎて声がでないのか、茜を凝視している。
「だって私、美琴さえいてくれればあんなのいらないのよ」
「はぁぁぁ!?」
また杏子が大声で驚いてしまった。
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