5,とりあえず最終章

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誰もがポカンとしているなか茜だけは、へらへらと笑い始めた。 「あの、それってつまり・・・幼女趣味?」 「失礼ね!私はあくまでも美琴限定だから!」 「それもそれで、ダメな気が・・・」 茜からのまさかのカミングアウトで、誰もがなんもとも言えない状況だ。 「だから、好きでもないあんたなんかと結婚して、好きでもないむしろ、嫌いに近いあんたと寝食を共にして!もう、限界だった!でも、私には美琴がいた。だから、どんなに辛くても頑張れたのよ!」 「お、おぅ・・・?それは頑張ったな・・・?」 直之は茜の言葉に混乱しているのか、自分を侮辱している茜に労いの言葉をかけた。こんなアホな光景に諒介達は、ため息をつく。 「だから、あんたが浮気をしてくれて嬉しいのよ!あんたと離婚できて、それで親権をぶんどって美琴と二人だけで暮らすことができるんだから!」 茜はまたアハハハハハ!と狂ったように笑い出す。もう付き合っていられなくなってきた諒介達は、そっと乾佐家を出ようと玄関を目指して行だそうとした。 「た、探偵さん!なんとかしてください!お願いしますぅぅ!!」 「なんとかされる前に、離婚したほうが良いと思うぞ」 「殺される前にね」 ランがいつもは滅多にしない優しい笑顔で言い放ったので、諒介と杏子が目を見開く。今まで黙って茜の様子を観察していたつぐみは、真っ青な顔になって一目散に乾佐家を出ていった。 「つぐみ?つぐみ!?」 「あ~あ、フラれちゃった」 杏子が若干、明るいトーンで話す。直之は三人の目の前でがっくりと膝から崩れ落ち、呆然としていた。 「んじゃあ、まぁ、そういうことなんで。さようなら」 諒介がテキトーにあいさつを済ませ、立ち去ろうとしたとき。美琴が立ちふさがっていた。 「・・・ねぇ、帰っちゃうの?パパと茜さんは?」 「・・・平気だよ、多分」 諒介は若干いや、かなり茜が美琴のことで狂っているなんて言えなかった。 「・・・まぁ、色々あるだろうけど頑張れ。な?」 諒介はポンポンと、美琴の頭を数回撫でると三人で乾佐家を出ていった。
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