6,ほんとの本当に最終章

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それからというもの、杏子はため息ばかりついて仕事で使い物にならない日々が続いた。 依頼者にあやうくお茶をぶちまけそうになったり、頼んでおいた仕事を忘れたりと探偵社のお荷物になっていた。 「・・・ごめんなさい」 「あのなぁ、お前、乾佐家のこと忘れられないんだろ」 「っ!?」 「杏子は顔に出やすいからねぇ。」 「嘘でしょ、まじで!?」 杏子は慌てて両の手のひらで顔を隠し、見られないようにした。諒介がため息をつくのと同時に、探偵社のドアが開いた。 「こんにちはっ!」 顔を隠していた杏子がその声を聞いて、顔をあげる。そこには、屈託のない笑顔で小豆のリードを引いている美琴がいた。 「み、ことちゃあぁん!?」 「うるさいな、杏子は。あの時はそんな反応しなかった癖に」 美琴はあの時と同様に、ドライだ。だが、それは彼女が変わっていない事の証明なので、美琴は顔がほころぶ。 「美琴ちゃんだぁ!小豆もいる!」 「・・・杏子が私のこと心配して仕事してないって聞いてさ」 「え、なんで知ってんの?」 「それで私・・・」 「チャンスだと思って!」 「は?」 美琴が言った言葉が理解できず、ポカンとして杏子は美琴を見つめた。 「だって、仕事してないって事は探偵社のお荷物ってことじゃん。それだったら、私の方が役に立つと思ってアプローチしに来たの!」 「え、あ?最近の子って、積極的だねぇ~・・・」 とっさのことで頭が回らない杏子はそんな、的はずれなことにか口にできなかった。 「で、どう!?私を雇ってくれない!?私、杏子、より役に立つ自信あるよ!!」 諒介とランは美琴の話より、腹を抱えて笑いだした。 「ヤベェ、杏子、お前まじでヤバイな!!」 「はぁ?」 「ほんとに、クククク・・・っ。ヤバイっ」 「はぁぁ?」 杏子の声に段々、怒りを帯びてくる。
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