1,探偵の日常

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小豆がいると思われる現場を捜索するが、それらしき影は一切いない。 「いないねぇー」 三人は住宅街を歩き回りながら小豆を探す。諒介や杏子に落胆の声が混ざるなか、ランだけはずうっと考え込んでいる。 「なんでいない?僕の情報が間違えていた・・・?いや、そんな事は・・・」 「ラン?どうした?」 ぶつぶつ言いながら歩くランに、何か入っているビニール袋を抱えた少年が走ってきた。そして、ランにぶつかると二人はその衝撃で倒れてしまう。 「だ、大丈夫!?」 「触んな!自分で立てる!」 杏子が急いで倒れた少年を起き上がらせようと、手をさしのべるが少年はその手を振り払い、自分で服に着いた砂をほろう。そして、杏子やランをじっとにらみつける。 「なんだよ、大人のくせに謝らねぇのかよ!?」 「あ、あぁ、ごめ」 「違う、僕は悪くない」 杏子が反射的に少年に謝ろうとした瞬間、ランが遮る。ランは諒介の手を借りて起き上がり、手に付いた埃を払う。 「君が僕にぶつかってきたんだ。つまり、被害者は君じゃなくて僕だ。だから、謝るのは君のほうだ」 少年はランの冷ややかな目と正論で、悔しさで顔を歪める。ランは大人げなく勝ち誇ったような顔を少年に向ける。少年は悔しさで歪んだ顔のまま走り去っていった。 「おい、ラン。何、子ども相手にムキになってんだよ。大人げねぇーぞ」 「大人げないだけで、僕は悪くない。悪くないのに謝るのはおかしい」 ランの主張に諒介が黙る。小豆探しを再開しようとすると、今度は杏子が唸る。諒介は、ため息をつく。 「おい、お前までどうしたんだよ?」 「・・・今の子ってどう見ても小学生だよね?ランドセル背負ってたし」 「あ?・・・まぁ、そうだろうな。もう、四時近いし。下校途中だったんだろう、それが?」 諒介は少年が走っていった方を見ながら、杏子の質問に答える。察しがいいランも杏子の言おうとしている事がわからず、眉をひそめるだけだ。 「さっきの子ね、ビニール袋の中、ドックフードだったの。これからあげに行くんだと思う」 「あげるって誰に?」 「多分、小豆にあげるんじゃないかな?」 諒介はすぐに、少年の行った方向に向かうが、少年の姿はどこにもなかった。
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