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諒介の足元には小さな亀がノッソノッソと歩いていた。諒介がその小さな亀を持ち上げると、小学生達は動揺して諒介に詰め寄った。
「返せよ、おっさん!」
「え?え?何、何、どういうこと?」
混乱している諒介は小学生達にもみくちゃにされる。杏子はこの状況がわからず、呆然とする。
「なんだ、そういうことか」
「え?どういうこと?」
人一倍察しのいいランが、状況を理解しクスクスと笑う。杏子がこの状況の説明をランに求めるとランが、楽しそうに笑いながら口を開いた。
「君達の言っているダイスケは、その亀の事だろう?」
「やっと、分かったのかよ!あんたら、大人なのにバカなんだな!!」
「バッ!?」
小学生達はランに向けて言ったのに、言われていない諒介が何故か傷ついている。ランは我慢できないと言わんばかりに腹を抱えてゲラゲラも笑い出す。
「で、でもなんで君はドックフードを持ってたの!?」
「マ、ママにお使い頼まれたんだよ。マロンの餌買ってきてって・・・」
杏子が勢いよく聞くと、ランとぶつかった小学生がおどおどしながら答える。察するにマロンというのは、少年が家で飼っている犬の名前だろう。
状況を理解した、諒介は小学生達に亀のダイスケを手渡す。小学生達はダイスケが帰ってきたことに歓喜し、諒介達にはあっかんべーとバカにした態度をとって走り去った。
「ったく!亀ぐらい、ちゃんと見とけっての!!」
諒介は自分の頭を乱暴にかきむしる。ランはクスクスと笑いながら探偵社に戻る道を歩き始める。
「おい、ラン!どこ行くきだよ!小豆はまだみつかってねぇぞ!?」
「・・・小豆はもう今日は姿を見せないだろう。だから、帰る」
「は?え、ちょ、待って!」
ランに杏子がついて行ってしまったので、諒介は若干怒りながら二人の後を追いかけた。
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