01 旅の仲間

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 出発するまでにはまだ時間があった。  ぼくらは駅から一番近いファミレスに寄って、最後の夕食を食べようとしている。    「西洋わさびさん、注文決まりましたか」  ゾンビールさんがぼくにそう聞いてくれる。  「はい、包み焼ハンバーグにします」  そう答えると、ぼくは自分の横に座ったミルクパンさんの様子を窺った。彼女はまだメニューを真剣に読み込んでいる。    誰も彼女を急がせようとはしなかった。    最後くらいは、たとえファミレスの限られたメニューの中からだとしても、自分の本当に食べたいものを選べば良いのだ。  ぼくらはたくさん我慢を重ねてきたのだから、それくらい許されるはず。  彼女はメニュー表から視線を上げて、他の三人を見渡した。    「はい、決まりました。デラックスプリンパフェにします」  彼女は、迷いの無い声でそう宣言した。    それを、ひとりで食べる気なのだろうか?かなり量が多いぞ。  
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