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……くん……ん……ね……
微睡んだ意識の向こうから聴こえてくる柔らかい声に、これは現実ではない――と分かっていても、返事をしそうになってしまう。
そう、これは夢だ。束の間の夢。
自分に言い聞かせようとしていると、また聴こえてくる。君の声が――
……まさ……や……く……ごめ……ね……
相変わらずの恒例の夢だった。君が僕に呼び掛けて、僕は追い掛ける。
夢の中だと分かっているのに、結局僕は君を追ってしまう。この手を伸ばして君の名を呼ぼうと喉元まで出かかった瞬間、君は消える。
一体いつになったら……僕の中から君が消えるんだろう?
……いつになったら……消えて……――――
――――――
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