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「乙っす~。」
「おー…えっと…おつかれ。」
「オマエ、オレの名前忘れてない?つーか、最初から覚えてない可能性もアリ?」
50人の同期の中でも、かなり目立つ男が声をかけてきた。
人見知りで地味な僕にも時々こうして声をかけてくれる、貴重な同期だ。
貴重な同期だが、名乗られたことがないので、名前を知らない。
「君の名は。」
正直に問うと、本気で傷ついた顔をした。
「タキ=クミールだよ。つか、マジで知らんかったか。いや、そんな気はしてたが。」
本気でショックを受けた様子。
「君こそ、僕の名前を知っているのかい?」
申し訳なさを感じながら問うと、
「いや、知らん。聞いてないし。教えてちょ。」
と、シレッと言う。
見た目も中身も軽々しい男なのである。
軽々しいが、案外頭の回転が早く、気遣いが出来たりするので、僕はこの男が嫌いじゃない。
「僕は、サイ=ミライ。改めてよろしく。」
「こちらこそ!」
ニカっと笑うタキは、同期イチのイケメンスマイルを振りまいてきた。
周りから、ほうっ…とため息が聞こえたのは気のせいじゃないだろう。
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