第2章 無慈悲な明暗。

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第2章 無慈悲な明暗。

営業を始めて2ヶ月がたった。 北部同期の4人は、数字の大小こそあれ、2ヶ月は無事に達成出来ている。 僕は、グループの先輩方のおかげで、4人の中では一番売り上げが高い。 だが、大きめの契約1つでひっくり返せる程度の差でしかない。 他の担当エリアの同期達の成績が気になるが、残念ながらそれを知る手段がないため、自分が全体のどの位置にいるか分からずに落ち着かない気持ちが続いていた。 中央担当は同じフロアにいるが、それぞれ目の前の仕事にいっぱいいっぱいで、あまり交流はできていない。 そもそも、日中は営業に出ていてフロアにいる事はほとんどないのだから、他の同期に会わないのも当たり前である。 仮に顔を合わせたとしても、人見知りな僕から声をかける事は出来ないし、地味な僕に声をかけてくる同期もほとんどいない。 僕は、今時点で誰がトップ異動の近くにいるのか、知りたいのに知れずにいた。 3ヶ月目の営業が始まったばかりのある日。 終礼前に日報を書いている僕にタキが近寄ってきた。 「地方担当で、またクビが出たらしい。」 さすがの情報通だ。 誰から聞いてくるんだろう? 新人には、飛び込みノルマ1日10件というものがあり、これを達成できなければ即クビという厳しい決まりがある。 地方担当の場合は、魔物との遭遇の可能性もゼロではないし、他にも天候や自然災害の影響を受けやすいため、状況が認められればクビを免除される場合があるらしい。
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