第10章 三年後(つづき)

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実際、私たちは、努力をしてまでも二人目をとは望んでいない。 確かに、我が子という存在は愛しく可愛いが、 自然と授からなければ、優喜ひとりでも十分幸せだと思っている。 それに彼の方は、むしろ、これ以上 私の目が、家族に向くことを望んでいないような気もなんとなくしている。 だから、それならばそれで良いと私も思っていた。 そして、やっぱり千奈美は相変わらず鋭かった。 「っていうか、カンちゃんが、 もうこれ以上、夏海を取られたくないんじゃない?」 フフッ……。 反論の余地がないだけに、私は細く笑うだけ。 こうして、久しぶりに千奈美一家と楽しく食事をして 彼女たちの家を出たのは、夜の九時過ぎ。 それまで、はしゃいでいた優喜も、 冠くんに抱かれて、みんなにバイバイの手を振って 間もなくコトンと眠りに落ちていった。
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