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実際、私たちは、努力をしてまでも二人目をとは望んでいない。
確かに、我が子という存在は愛しく可愛いが、
自然と授からなければ、優喜ひとりでも十分幸せだと思っている。
それに彼の方は、むしろ、これ以上
私の目が、家族に向くことを望んでいないような気もなんとなくしている。
だから、それならばそれで良いと私も思っていた。
そして、やっぱり千奈美は相変わらず鋭かった。
「っていうか、カンちゃんが、
もうこれ以上、夏海を取られたくないんじゃない?」
フフッ……。
反論の余地がないだけに、私は細く笑うだけ。
こうして、久しぶりに千奈美一家と楽しく食事をして
彼女たちの家を出たのは、夜の九時過ぎ。
それまで、はしゃいでいた優喜も、
冠くんに抱かれて、みんなにバイバイの手を振って
間もなくコトンと眠りに落ちていった。
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